1. 第40回入学式 式辞

 今年は桜の開花が早く、早々と散ってしまったらどうしようかと心配していましたが、まるで皆さんの入学を待っていたかのように、今日のこの晴れた空の元、住吉高校は春爛漫といった風情の桜に囲まれています。
 本日、ご来賓並びに保護者の皆さまのご臨席を賜り、神奈川県立住吉高等学校第40回入学式を挙行できますことは、私ども職員一同にとって大きな喜びです。
 ただ今、入学を許可いたしました358名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、住吉高校へようこそ。
 住吉高校は昭和54年の創立以来、39年間の歴史を持ち、今年度は創立40周年の記念の年を迎えます。生徒は、のびのびと学習や行事、部活動に取り組んでいます。きっと皆さんの中には、昨年度の文化祭に来てくれた人もいるでしょう。先輩たちの姿は、いかがでしたか?皆さんは、今日からそんな住吉高校の仲間として、新たな成長の出発点に立ったのです。
 高校への入学試験に合格することは、ゴールではなく新たな成長へのスタートです。
 そのスタートに当たり、皆さんに 2つ意識してほしいことがあります。

1つ目は、視野を広く持つということです。

 私たちは何かを見るとき、眼球の中で視細胞が最も多く分布する部分に、一番見たいものの像が結ばれるように、無意識に眼球を動かしています。つまり、何かを、一生懸命見れば見るほど、周囲が見えなくなるようにできているのです。
 これは何かを考えたり判断したりするときにも言えることです。こうだと決めつけてしまったり、思い込んでしまったりすると、他の考え方や、やり方を受け入れられなくなったり、否定してしまいがちになります。気づかぬうちに、視野が狭まってしまうのです。
 缶ジュースを真横から見た人が長四角だといい、真上から見た人が円だという。どちらも間違ってはいませんが、その立ち位置をお互いに変えなければ相手の言っていることを受け入れることは難しいでしょう。ですから、何かに一生懸命取り組んでいる時こそ、あえて一歩下がって自分の視野を確認することが必要なのです。
 相手の発言に耳を傾け、相手の立ち位置からも物事を見ようとすること。それは自分とは違う存在、自分とは違う思考に敬意を払うということです。それができたとき、世界は広がり、より真実に近づくことができるはずです。
 ぜひ、日頃から、自分の視野は、そして心は、狭くなっていないかと省みる習慣をつけてください。

 2つ目は、志を持つということです。

 志という言葉には、「目標を定めそれに向かう気持ち」という意味と、「相手のためを思う気持ち」という意味があります。
 多くの中学生は、卒業したらどうするのかと問われたら、高校に進学すると答えるでしょう。もちろん、どこの高校を選ぶかということはありますが、高校に進学するという答えが、あらかじめ用意されているような状態です。
 しかし、こうして高校に入学を果たした皆さんは、高校を卒業したらどうするのかという、新しい問いに答えなければならなくなりました。大学などの上級学校に行きますと、答えれば済む話でしょうか?
 例えば、大学には様々な学部、学科があります。ですから、どこの大学に行くかだけでなく、どの学部、学科で学ぶのかを決めなければなりません。それを選択することは、将来の仕事や生き方にもつながることです。何を学びたいのか、何になりたいのか、目標を持った進路選択が必要になるのです。
 もし、確固たる目標があり、その達成の近道になるのなら、大学以外の学校を選ぶことや、学校での学びだけが全てではない、という選択もあり得るでしょう。
 今ここにいる皆さんの中には、すでに目標を定めている人もいれば、まだ明確でない人もいるでしょう。そのどちらであっても、これからの様々な学習や体験を通して、自分が、何をしたいのか、何ができるのか、何をすべきなのか、という問いかけを、自分自身に向かって、し続けてほしいと思います。その中で、目標は新たに生まれ、変化するかもしれません。
 安易な答えに満足せずに、自分自身への問いに真摯に向き合って、より高い目標を掲げ、その達成を目指す、志のある高校生活を送ってください。
 また、私たちは一人ひとりが、みな違っています。育ってきた環境や経験が違い、性格も好みも違います。そして、その時々にどんな立場にあるか、どんな気持ちでいるかによって、感じ方も様々です。だからこそ、自分の考えを正しく相手に伝えること、相手の立場や考え方を思いやることが大切です。
 「ここには、自分がいる。そして、自分以外の人がいる」という意識を持ちながら、人と関わることで、硬直した人間関係ではない、しなやかな社会性が育ちます。互いに高めあい、励ましあえる、真の仲間にも出会えるかもしれません。
 皆さんが自宅で、ネット上の通信講座を見るのではなく、学校というところに、わざわざ通って高校生活をするということの、大きな意味一つが、ここにあります。
 他人の心は見えません。それは相手にとっても同じことです。人と関わることは、時に面倒だったり苦しかったりしますが、人と関わることを恐れず、自分や他人を大切に尊重することのできる、志のある人になってください。

 最後になりますが、保護者の皆さま、改めて、本日は誠におめでとうございます。また、お忙しい中、ご臨席いただきましたご来賓の皆様、誠にありがとうございます。
 住吉高校では、たゆまぬ授業改善と多彩な教育活動により、生徒一人ひとりの力を伸ばし、生涯をとおして自ら学び続ける力を持つ「自立した学習者」を育成するとともに、「プログラミング教育研究推進校」として、生徒の論理的思考力や課題発見力、課題解決力の向上を目指して、職員一同、誠心誠意、教育活動を展開してまいります。
 また、スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーとの連携に加え、今年度はスクール・メンター配置行にもなっております。生徒相談の充実等、様々な面から、生徒を支援していく所存です。
 保護者の皆様、並びにご来賓の皆様におかれましても、生徒たちの成長を温かく見守っていただくとともに、本校の教育活動にご理解をいただき、ご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願いいたします。
 
 以上、本日入学された新入生の皆さんにとって、住吉高校で過ごす3年間が、実り多く、輝かしいものとなることを祈念して、私の話を終わります。

平成31年4月5日          
                        神奈川県立住吉高等学校                         校 長 大貫 晶子