19.  プランド・ハップンスタンス(卒業式のあいさつから)

3月1日、第37回卒業式を挙行し354名の生徒たちが住吉高校を巣立っていきました。

      

卒業生の皆さん、改めて、卒業おめでとうございます。
 皆さんが、住吉高校で過ごした3年間、思い起してみてください。皆さんはここで、何を学びましたか、何に感動しましたか、どんなことに驚き、何に夢中になったのでしょうか。何に泣き、何に笑ったのでしょうか。皆さんが周りの人に支えられながら、自分の力を信じ、一生懸命取り組んできたこと、これらはすべて皆さんの力となり、自信となり、生涯にわたって皆さんを支えてくれることでしょう。高校時代に育んだ友情は、一生の宝物となるでしょう。
 皆さんは、今、高校を卒業した後の自分の人生の筋道を描けていますか。4月からは、大学に行って専門分野を深く学ぶ、そしてそれを活かした仕事について活躍したいと考えている人もいるかもしれません。もう1年頑張って、自分の第1希望の大学にチャレンジしようと考えている人もいるかもしれません。進む道は様々であっても、それぞれ、自分の強みを活かして、将来こうありたいという自分の姿を描き、それを実現するために必要なことを積み上げていく、皆さんには、それを実行していくだけの力があると思います。
 一方で、もうひとつ大切なことを、きょうは、皆さんへのメッセージとしてお話したいと思います。それは、「プランド・ハップンスタンス」という言葉です。「プランド・ハップンスタンス」、日本語に直すと、「計画された偶然」となります。「計画された偶然」、矛盾していますね。
 これはスタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱したことばです。人は人生の後半に、自分の人生を振り返ったとき、自分が思い描いていたとおりに歩んできたことも、もちろんありますが、細かい経緯を見ていくと、実はそれ以上に偶発的な出来事によって、人生が構成されているというものです。確かに、あの時、あのことがあったから、あの人に出会ったから、後になって思えば、そのことによって私の人生が大きく変わった、ということが誰にもあるのではないでしょうか。私にももちろんありますし、皆さんの約18年の人生の中にも数多くあるのではないかと思います。それらは、後になって思えば、「プランド・ハップンスタンス」というわけです。
 ただし、仮に、人生の多くが偶然性の積み重ねだとしても、偶然の出来事を、ただ待っていたのでは、「プランド・ハップンスタンス」にはなりません。自分の好きなこと、慣れ親しんだことだけでなく、むしろ新しいこと、知らない分野に目を向け、普段から自分のアンテナの感度を高め、視野を広げる努力をしておく必要があるでしょう。困難や失敗を恐れず、自分の可能性を信じてチャレンジすること、固定観念やこだわりにとらわれず、その時々の状況に応じて、柔軟に考えることも大切でしょう。長い人生のうちには、いいことばかりではなく、時につらいこと、しんどいこともあるかもしれません。しかし、そのこと自体は変えられなくても、それをどうとらえるか、そしてどう生きていくのかは、あなた次第です。
 「プランド・ハップンスタンス」、偶然の出来事、偶然の出会いにただ黙って身を委ねるのではなく、時にそれを自分から引き寄せ、時にそれを自分の人生にどう生かしていくかを考えながら行動してほしいと思います。
 住吉高校で学んだ3年間に、自信と誇りを持って、幸せな人生を歩んでいってください。
 卒業、おめでとう。

住吉高校の校長室から