1. 校長通信  白南風(しろはえ) 第1回

 白南風(しろはえ)とは、「梅雨明けのころに吹く、雨雲を一掃するようなさわやかな風」という意味がある言葉です。住吉高校を吹き渡る清々しい風と、生徒の皆さんのさわやかさ、たくましさをイメージしました。第1回は、 構える です。

  住吉高校の皆さん、初めまして。この4月より小島校長先生の後任として、着任いたしました 大貫晶子 と申します。前任校は、校地が逗子市と葉山町の両方にまたがった、逗葉高校です。
 私は、この川崎地区で勤務するのは今回が初めてです。こちらへの転勤が決まった後、住吉高校は緑の多い環境の中にある、とても気持ちのよい学校だと聞き、着任の日を楽しみにしておりました。そして、4月、足を踏み入れた学校からは、元気に響く生徒の声。 「あぁこんな素敵な学校の校長先生をやらせてもらえる」と、大変うれしくなりました。
 これから、この住吉高校で先生方全員と力を合わせ、皆さんのさまざまな活動をサポートしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 いよいよ新年度が始まりました。

1年生は、新しい環境で戸惑うこともあるかもしれませんが、知らないということを強みに変え、チャレンジ精神をもって、様々な場面から学んでいきましょう。

2年生は中堅学年として、入学してきた下級生を指導していく立場となり、年度の後半になると3年生からのバトンを引き継いで、あらゆる場面で学校をリードしていくことになります。住吉高校の「学校文化」の担い手としての自覚を、育てていってください。
 3年生は、最高学年として学校を背負う、いわば「学校の顔」という立場です。そして、3月には、この住吉高校を巣立っていくことになりますが、その前に進路選択、進路実現という、人生の中でも大事な場面を迎えることになります。自分の選択を恥じることの無いよう、自分自身と真摯に向き合ってください。
 皆さん全員、健康に留意しながら、実力を伸ばし、その力を遺憾なく発揮できるよう、しっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 
ところで、日本では学校は春に始まります。桜のつぼみが膨らみ始める3月に、終了式を行い、桜の花がほころぶ4月に、新年度を迎える。その間に短い期間ですが、「春休み」がありますね。
 私は「春休み」という期間は、新しい「構え」を作る期間だと思っています。「構え」とは、目標を定め、それを達成する姿を想像することだと思ってください。
 新年度に向け、目標を立てて、その実現のために何をすべきか考え、その達成できた姿を想像することで、それを実行しようとしている自分に向けて、勇気を与えること、覚悟を持たせること、自分自身へエールを送ることです。
 私たちの脳のもつ能力の中で、想像する力は、特に素晴らしいものだと思います。想像力は、まだ達成されていない未来の自分を見せてくれます。
 少し前ですが、パラ陸上の選手のインタビューで、とても印象に残っているものがあります。あの独特の形状の義足を使って、高飛びをする選手でしたが、その方が言うには、「競技用の義足を使いこなすためには、健常者だった時には想像もつかなかった部分の筋肉を使わなければならない。その筋肉は、はじめのうちはほとんど動かすことができないが、義足を使って走るとき、踏み切るとき、その筋肉が義足をコントロールしていることをイメージしながら、トレーニングを続けることで、やがて、その筋肉を動かせるようになってくる。」のだそうです。想像力は肉体の限界さえも、超えさせるのです。
 大切なことは、何かを達成している自分の姿と、そのために頑張っている自分の姿の両方を想像することです。私たちは魔法使いではないので、そう簡単には、望みは叶いません。だからこそ、しっかり「構え」て、自分自身を応援するのです。
 ぜひ、新たな年度にしっかりとした「構え」をもって、高校生活に取り組んでください。
 目標を達成している姿、そのために努力している姿にプラスして、誰かと助け合い励まし合っている姿も想像して「構え」ることができれば、さらに素晴らしいと思います。
 「誰か」は、自分自身ではないので、自分の「構え」の中に組み入れることは、難しいように思うかもしれませんが、困ったときにきちんと「助けて」を言える自分、できるときには人を手伝っている自分の姿を想像してください。相手の立場や気持ちを思いやっている自分、自分にも相手にも敬意を持っている自分の姿を想像してください。
 社会の中で、人との関わり合いの中で、私たちは目標を定め、そして自己実現をしていくのです。自らの「構え」の中に、「誰か」を登場させることは、人として成長するうえで、とても大切なことです。そんな時、「構え」の必須アイテムの想像力は「思いやり」と呼ばれる、人と人とを結びつける機能としても、私たちを支えてくれます。

 想像力は、私たちの可能性を伸ばし、良い「構え」は、私たちを成長させます。

この一年間の皆さんの成長と活躍に期待しています。

 
           平成31年4月10日 校長 大貫 晶子