2. 校長通信  白南風(しろはえ) 第2回

 住吉高校の皆さん、中間テストお疲れ様です。手応えはいかがでしたか?定期テストは、選抜試験ではなく確認のためのものです。テスト前にそれまでの学習を振り返ってしっかり準備することは、もちろん大切ですが、テストが返却されてから、自分がどの部分をなぜ間違えたのか、きちんと分析し、しっかりやり直しをすることは、さらに大切です。定期テストを自分の学習をチェックするツールとして、有効に利用してください。
 
 さて、風薫る季節です。新緑が目にまぶしい!ということは、イモムシなどにとっては超ハッピーな葉っぱ食べ放題の季節!ということは、小鳥たちの子育てシーズンです。親鳥たちは、食欲旺盛なヒナたちのために、エサ集めに大忙しです。(その大部分は昆虫でしょう。虫さんに合掌。) 
 私は生き物が好きで、大学生の時は、河原で野鳥の調査をしていました。習慣として、鳥の声や姿が、耳や視界に入ると、つい確認してしまいます。そして、例えばスズメが、結構“獰猛”に昆虫を狩っているのを見たりすると、格好いいなぁ♡と、うっとりしてしまいます。
 スズメといえば、身近な野鳥のひとつだと思いますが、皆さんはスズメの囀りをちゃんと聞いたことはありますか?スズメはチュンチュンと鳴くだけではありません。主に朝、それなりに複雑な節回しでステキに囀ります。オスが、周囲のメスに自分の魅力をアピールしているのです。その姿は、とてもチャーミングです。
 スズメは集団を作るので、仲間同士のコミュニケーションが大切です。そのため、鳴き方のバリエーションも豊富で、チュンチュンという鳴き声は、エサを見つけたことを仲間に知らせているといわれています。危険を感じるとジュクジュクとかヂヂと鳴いて、それを聞いた群れが一斉に飛び立ったりします。体の小さな鳥なので、仲間と一緒に助け合うことで、エサを見つけるのも敵から逃れるのも成功率が上がるのでしょう。
 皆さんも、時間があるときにスズメがそばにいたら眺めてみてください。様々な行動や鳴き声で、仲間同士、何かを伝え合っていることがわかるかもしれません。
 
 私たち人間も、スズメと同じように集団を形成する生き物です。囀ることはできませんが、言葉を使って仲間同士のコミュニケーションをします。そして、文字を発明しました。
 言葉は口から出た瞬間に消え、やがて忘れられてしまいます。けれども、言葉を文字や文章にしておくことで、既に死んでしまった人の言葉でさえも“聞く”ことができます。大切な言葉を文字に刻むことで、その言葉が伝えている思いを、いつでも確かめ、感じることもできます。
 言葉を文字にするということは、人々の「知恵」や「思い」を遠い過去から受け継ぎ、変化や進化をさせながら、まだ見ぬ未来へと伝えることになるのだと思います。

 もちろん、文字となっていない言葉も決して儚いだけのものではありません。その瞬間の感動や情熱を、文字とは違う力強さで、相手に伝えることができます。私たちは、伝えたい思いを言葉で語り、相手の言葉に耳を傾けて、互いに理解し合うのです。 
 旧約聖書の中に、天にも届くほどの巨大な塔を建設しようとした人類の傲慢さに怒った神が、人々の言語をバラバラにしたために、皆、話が通じなくなって気持ちもバラバラになり、塔の建設をやめてしまった。という話があります。 
 言葉は、ただの伝達ツールではなく、思いを伝えるための大切なものです。もし、塔を造っていた人々が、バラバラになった互いの言葉を理解し合おう、そして思いを伝え合おうとしていたならば、塔は完成したのかもしれません。(ただし、「傲慢さの象徴としての塔」は、やはり完成させるべきではないでしょうね)

 ところで、皆さんは神奈川県の「手話言語条例」を知っていますか?この条例は、『手話がろう者(聴覚に障害があり普段手話を使っている人)にとっての言語であるという認識に立って、ろう者とろう者以外の人々が、互いの人権を尊重して、意思疎通を行いながら共生することのできる社会を実現する』ために平成26年に制定されました。

 私たちが耳で聞く言葉と同じように、手話は、ろう者にとって、思いを伝え人とつながるための、目で見る「ことば」です。耳で聞く言葉と目で見る「ことば」は違う言語、互いに外国語のようなものだと理解すればよいと思います。
 外国語を話す相手の言っていることを理解できないからと、コミュニケーションそのものをあきらめてしまうのは、もったいない話です。解らないから遠ざけるのではなく、『それってどういう意味?これってどう表現するの?』と、むしろコミュニケーションのきっかけにできたら素晴らしいと思います。
 外国語の勉強で、新しい単語や言い回しを知ることで、自分たちと異なる言葉の背景にある文化や歴史や心を知り、その言葉を使う人々とつながることができるように、手話を学ぶことで、その手話が伝えたい思いも感じることができたら、新しいつながりが生まれるかもしれません。外国語を学ぶように手話を学んで『バイリンガル』を目指すのもよいのではないでしょうか。

 手話の簡単なフレーズについては「神奈川県のホームページ」のトップにある検索欄に「手話に関する情報」と入力して検索すると、高校生が動画で紹介してくれるメニューがあるので、スマホやPCからアクセスしてみてはいかがですか?流暢な手の動きと豊かな表情から、出演している高校生の「手話への思い」のようなものも伝わってくる素敵な動画です。
 あと、Eテレで、日曜夜19:30から放送されている「みんなの手話」もなかなか楽しい番組ですよ。

 

          令和元年5月21日 校長 大貫 晶子